第7章(商業簿記)

決算と財務諸表

第3問(20点)の主戦場。3級の決算に新しい仲間が加わる

1棚卸減耗損と商品評価損(売上原価まわりの新顔)

3級では「期末商品=帳簿どおり」でした。2級では実際に数えたら足りない(減耗)価値が下がった(評価損)を処理します。

例:帳簿棚卸数量10個・実地棚卸数量8個、原価@¥100・正味売却価額@¥90。

項目計算金額
棚卸減耗損(帳簿10個−実地8個)×原価@100200
商品評価損実地8個×(原価@100−正味@90)80
B/Sの商品実地8個×正味@90720
借方貸方
棚卸減耗損 200
商品評価損 80
繰越商品 280
📌
図で覚える:「数量の減り×原価=減耗損(ヨコ)」「残った数量×値下がり=評価損(タテ)」。先に減耗、次に評価の順で計算します。

2損益計算書:利益は5段階で見せる

2級のP/Lは「報告式」。もうけを5段階に分けて表示します。どの費用・収益がどの段に入るかが問われます。

🛒
売上総利益
売上高−売上原価
(粗利)
🏪
営業利益
−販売費及び
一般管理費
🏦
経常利益
±営業外収益・
費用(利息など)
税引前利益
±特別利益・
特別損失
🏁
当期純利益
−法人税等
(±調整額)
区分入るものの例
販売費及び一般管理費給料・広告宣伝費・減価償却費・貸倒引当金繰入(売上債権分)・のれん償却
営業外収益/費用受取利息・有価証券評価損益・為替差損益/支払利息・手形売却損
特別利益/損失固定資産売却益・保険差益・負ののれん発生益/固定資産除却損・火災損失
💡 迷ったら「本業か(販管費)→お金がらみの日常か(営業外)→めったにない大事件か(特別)」の順で考えると区分できます。棚卸減耗損・商品評価損は原則売上原価の内訳(または販管費)です。

3貸借対照表:流動と固定に分ける

区分ルール
流動資産/流動負債1年以内に現金化・支払い
(または正常営業循環内)
現金預金・売掛金・商品/買掛金・未払法人税等
固定資産長期保有有形(建物など)・無形(のれんなど)・投資その他(投資有価証券・長期貸付金・繰延税金資産)
固定負債支払いが1年超先長期借入金・退職給付引当金・リース債務(1年超分)
📌
B/S表示の科目名に注意:満期保有目的債券・その他有価証券→「投資有価証券」、子会社株式・関連会社株式→「関係会社株式」と表示名が変わります。

4サービス業の会計(役務収益・役務原価)

モノでなくサービスを売る会社では、売上の代わりに役務収益、売上原価の代わりに役務原価を使います。

💴
代金を前受け
前受金(または
契約負債)で計上
🛠️
かかった費用
仕掛品に
集計しておく
🤝
サービス提供完了
役務収益を計上し
仕掛品→役務原価へ
借方貸方
前受金 50,000
役務原価 30,000
役務収益 50,000
仕掛品 30,000
💡 ポイントは「提供が完了した分だけ」収益・原価にすること。月数などで按分するパターンが頻出です。

5収益認識の基本(契約資産・契約負債)

収益は「履行義務を果たしたとき」に計上する——これが収益認識基準の考え方。2級では次の科目を押さえれば十分です。

科目意味
契約負債先にお金をもらったが、まだ提供していない前受金のイメージ
契約資産提供は済んだが、まだ請求できない(条件付き)2つセットの契約の片方だけ完了
返金負債あとで返す見込みのお金売上割戻の見込み(第1章)
📌
契約資産 vs 売掛金:請求する権利が無条件に確定していれば「売掛金」、他の義務の完了が条件なら「契約資産」。商品AとBの両方を渡して初めて請求できる契約でAだけ渡した状態が契約資産です。

6理解度チェック

Q1. 帳簿10個・実地8個・原価@100・正味売却価額@90。棚卸減耗損は?
Q2. 支払利息はP/Lのどの区分?
Q3. B/Sで「投資有価証券」と表示されるのは?
Q4. サービス提供が完了したとき、集計していた費用はどこへ振り替える?
Q5. 提供は済んだが、他の義務の完了まで請求できない権利は?

7まとめ

4行でおさらい

① 期末商品は「減耗(数量×原価)→評価損(実地×値下がり)」の順に処理。B/Sは実地×正味売却価額。

② P/Lは売上総利益→営業→経常→税引前→当期純利益の5段階。費用収益の区分が問われる。

③ サービス業は役務収益・役務原価。費用は仕掛品に集めて、提供完了分だけ原価化。

④ 収益は履行義務を果たしたら計上。前受け=契約負債、条件付きの権利=契約資産、返す見込み=返金負債。