1純資産の中身(株主資本の構造)
3級では「資本金・繰越利益剰余金・利益準備金」だけでしたが、2級では純資産の全体像が問われます。
| 株主資本 | イメージ | |
|---|---|---|
| 資本金 | 会社の元手の本体 | |
| 資本剰余金 | 資本準備金 | 元手の予備(払込みの一部) |
| その他資本剰余金 | 元手系の自由なお金 | |
| 利益剰余金 | 利益準備金 | もうけの強制積立 |
| 繰越利益剰余金・任意積立金 | もうけの蓄積(配当の原資) | |
📌
大きく「元手系(資本〜)」と「もうけ系(利益〜)」の2系統。この区別が配当のルールにも合併にも効いてきます。ほかに評価・換算差額等(その他有価証券評価差額金)も純資産の仲間。
2株式の発行(設立・増資)
原則:全額資本金。容認:半分まで資本準備金にできる
増資で株式を発行し、払込金¥1,000,000が当座預金に入金。会社法の最低額を資本金とする。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金 1,000,000 | 資本金 500,000 資本準備金 500,000 「最低額」=1/2まで準備金OK |
| かかった費用 | 科目 |
|---|---|
| 会社設立のための費用 | 創立費 |
| 設立後、開業準備の費用 | 開業費 |
| 増資のための費用 | 株式交付費 |
💡 申込証拠金方式:申込時は別段預金/株式申込証拠金で受け、払込期日に当座預金・資本金へ振り替えます。
3剰余金の配当と準備金の積立ルール
配当するときは、会社法のルールで準備金の積立が強制されます。3級より計算が細かくなります。
⚖️
積立額=配当額×1/10。ただし「資本準備金+利益準備金」が資本金×1/4に達するまででストップ。両方計算して小さい方を積み立てます。
例:繰越利益剰余金から配当¥100,000(資本金¥1,000,000・資本準備金¥150,000・利益準備金¥90,000)
① 配当×1/1010,000
② 資本金×1/4−積立済準備金250,000−240,000
=10,000
=10,000
→
小さい方10,000
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 繰越利益剰余金 110,000 | 未払配当金 100,000 利益準備金 10,000 |
💡 その他資本剰余金から配当したときは、積み立てるのは利益準備金でなく資本準備金。「元手系から配ったら元手系に積む」——2系統の対応関係です。
💡 任意積立金(新築積立金・別途積立金など):株主総会の決議で繰越利益剰余金から積み立てる自主的な貯金。「繰越利益剰余金/別途積立金」のように純資産内部での振替(計数の変動)です。
4合併(吸収合併とのれん)
他社を吸収合併したら、相手の資産・負債を時価で受け入れ、対価として自社株式を交付します。差額がのれんです。
例:諸資産(時価¥500,000)・諸負債(時価¥300,000)のB社を吸収合併し、株式(時価¥250,000、全額資本金)を交付。
受入純資産500,000−300,000
=200,000
=200,000
vs
支払対価(株式)250,000
→
のれん50,000
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 諸資産 500,000 のれん 50,000 | 諸負債 300,000 資本金 250,000 |
📌
のれん=純資産より高く買った分(ブランド力・信用への対価)。20年以内に償却します(第4章)。逆に安く買えたら負ののれん発生益(収益)で、こちらは償却せず当期の収益です。
5株主資本等変動計算書(第2問の常連)
純資産の各項目が期首→期末でどう動いたかを一覧にした財務諸表。B/S・P/Lに続く「第3の計算書」です。
| 資本金 | 資本準備金 | 利益準備金 | 繰越利益剰余金 | |
|---|---|---|---|---|
| 当期首残高 | 1,000,000 | 150,000 | 90,000 | 300,000 |
| 剰余金の配当 | — | — | 10,000 | △110,000 |
| 新株の発行 | 500,000 | 500,000 | — | — |
| 当期純利益 | — | — | — | 120,000 |
| 当期末残高 | 1,500,000 | 650,000 | 100,000 | 310,000 |
💡 解き方は「期中の純資産が動く仕訳(配当・増資・純利益の振替)を書いて、各列に転記するだけ」。仕訳さえできれば得点源になります。減少は△で表します。
6理解度チェック
Q1. 株式発行の払込金のうち、資本金にしなくてよいのは最大いくらまで?
Q2. 増資のためにかかった費用の科目は?
Q3. その他資本剰余金から配当したとき、積み立てるのは?
Q4. 合併で受入純資産より安い対価で買収できたときに計上するのは?
7まとめ
4行でおさらい
① 純資産は「元手系(資本金・資本剰余金)」と「もうけ系(利益剰余金)」の2系統。
② 株式発行は原則全額資本金、容認で1/2まで資本準備金。設立費用は創立費、増資費用は株式交付費。
③ 配当時の準備金積立=配当×1/10と「資本金×1/4−積立済準備金」の小さい方。元手系から配当なら資本準備金に積む。
④ 合併は時価で受け入れ、対価との差額がのれん(高い)/負ののれん発生益(安い)。純資産の動きは株主資本等変動計算書に。