1引当金ファミリーが増える
3級の貸倒引当金に加えて、2級ではいろいろな引当金が登場します。考え方は全部同じ:「当期が原因で、将来発生しそうな費用」を先に計上しておく。
| 引当金 | 何に備える? | 繰入時の費用科目 |
|---|---|---|
| 修繕引当金 | 来期予定の修繕 | 修繕引当金繰入 |
| 商品保証引当金 | 売った商品の無料修理保証 | 商品保証引当金繰入 |
| 賞与引当金 | 来期支給のボーナス(当期分) | 賞与引当金繰入 |
| 役員賞与引当金 | 役員へのボーナス | 役員賞与引当金繰入 |
| 退職給付引当金 | 従業員の退職金 | 退職給付費用(←繰入と言わない) |
📌
使うとき(実際に修繕・支給したとき)は引当金を取り崩す。引当金を超えた分だけ当期の費用になります。退職給付だけ費用科目名が特殊なので注意。
例:修繕を行い¥30,000を現金払い(修繕引当金¥20,000あり)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 修繕引当金 20,000 修繕費 10,000 | 現金 30,000 |
💡 貸倒引当金も2級では進化:得意先ごとに見積もる個別評価と一括の一括評価、売掛金など営業債権向けの繰入は「販売費及び一般管理費」、貸付金など営業外債権向けは「営業外費用」に区分されます。
2法人税等の流れ(中間納付→確定→納付)
💸
① 中間納付
仮払法人税等
(資産)で仮払い
(資産)で仮払い
→
🧮
② 決算で確定
法人税等を計上し
不足分は未払法人税等
不足分は未払法人税等
→
🏛️
③ 確定申告・納付
未払法人税等を
取り崩して納付
取り崩して納付
決算で法人税等¥50,000が確定(中間納付¥20,000済み)。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 50,000 | 仮払法人税等 20,000 未払法人税等 30,000 |
💡 税務調査などで追加で払う税金は追徴法人税等、戻ってくる税金は還付法人税等。課税所得は「税引前当期純利益±調整」で計算され、ここから次の税効果会計につながります。
3税効果会計:なぜ必要?
会計が考える費用と、税法が認める費用(損金)にはズレがあります。例えば貸倒引当金を多めに積んでも、税法は一部しか認めてくれません。すると——
📗
会計の利益
引当金繰入を
費用にした利益
費用にした利益
≠
📕
税法の所得
認められない分を
足し戻した所得
足し戻した所得
→
😵
P/Lがチグハグ
利益と法人税等が
対応しなくなる
対応しなくなる
そこで「税金の前払い・繰延べ」を資産・負債として計上し、P/Lの法人税等を会計の利益に対応させるのが税効果会計です。
例:貸倒引当金繰入¥1,000が損金不算入(法定実効税率30%)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 繰延税金資産 300 1,000×30%=税金の前払い | 法人税等調整額 300 |
将来、実際に貸し倒れて損金と認められたとき(差異の解消時)に逆仕訳をします。
| 2級で出る一時差異 | 計上するもの |
|---|---|
| 貸倒引当金の繰入限度超過 | 繰延税金資産×実効税率 相手は法人税等調整額 |
| 減価償却費の償却限度超過 | |
| その他有価証券の評価差額 | 繰延税金資産/負債×実効税率 相手はその他有価証券評価差額金(P/Lを通さない) |
📌
将来減算一時差異(将来、税金が減る)→繰延税金資産。将来加算一時差異(将来、税金が増える)→繰延税金負債。2級はほぼ繰延税金資産のパターンです。
その他有価証券の税効果:時価が¥5,000上昇(実効税率30%)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| その他有価証券 5,000 | 繰延税金負債 1,500 その他有価証券評価差額金 3,500 |
4理解度チェック
Q1. 退職給付引当金を繰り入れるときの費用科目は?
Q2. 貸倒引当金繰入¥1,000が損金不算入(実効税率30%)。借方に計上するのは?
Q3. その他有価証券の評価差額に税効果を適用するとき、P/Lの法人税等調整額は?
Q4. 修繕引当金¥20,000があるのに修繕費¥30,000を支払った。費用になる金額は?
5まとめ
4行でおさらい
① 引当金は「当期が原因の将来費用」の前倒し計上。使うときは引当金から取り崩す。退職給付だけ費用科目が「退職給付費用」。
② 法人税等は中間納付(仮払法人税等)→決算で確定(未払法人税等)→納付の3ステップ。
③ 税効果会計は会計と税法のズレ(一時差異)×実効税率を繰延税金資産・負債に。相手科目は法人税等調整額。
④ その他有価証券の税効果だけはP/Lを通さず、評価差額金の中で調整する。