1減価償却:3つの方法
3級では定額法だけでしたが、2級では定率法と生産高比例法が加わります。
| 方法 | 計算式 | イメージ |
|---|---|---|
| 定額法(3級) | (取得原価−残存価額)÷耐用年数 | 毎年同額ずつ |
| 定率法 | 期首帳簿価額×償却率 | 最初に多く、だんだん少なく |
| 生産高比例法 | (取得原価−残存価額)×当期利用量/総利用可能量 | 使った分だけ(車両など) |
定率法の例:取得原価¥100,000・償却率20%
1年目100,000×20%
=20,000
=20,000
→
2年目80,000×20%
=16,000
=16,000
→
3年目64,000×20%
=12,800
=12,800
📌
定率法は「残っている帳簿価額」に率を掛けるのがポイント。取得原価に掛けるミスが最頻出。期中取得なら月割りも忘れずに。
2買う・直す・捨てる
割賦購入:利息は資産に含めない
備品(現金購入価額¥100,000)を5回払い・総額¥105,000の分割で購入した。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 備品 100,000 支払利息 5,000 (前払利息として繰延べる方法も) | 未払金 105,000 |
改良と修繕:資本的支出 vs 収益的支出
| 内容 | 処理 | |
|---|---|---|
| 資本的支出 | 価値を高める・寿命を延ばす(増築・改良) | 建物などの取得原価に加算 |
| 収益的支出 | 元の状態に戻す(修理・メンテ) | 修繕費で費用処理 |
除却:使うのをやめて倉庫へ
取得原価¥100,000・減価償却累計額¥80,000の備品を除却。処分価値は¥5,000と見積もられた。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却累計額 80,000 貯蔵品 5,000 固定資産除却損 15,000 | 備品 100,000 |
💡 建設仮勘定:建設中の建物への手付金は「建設仮勘定(資産)」にプールし、完成・引渡しで「建物」へ振り替えます。完成前なので減価償却しません。
3圧縮記帳と火災損失
圧縮記帳(直接減額方式):補助金でトクした分を帳消しに
国庫補助金¥30,000を受け取り、機械¥100,000を購入。圧縮記帳を行った。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金 30,000 | 国庫補助金受贈益 30,000 |
| 機械装置 100,000 | 当座預金 100,000 |
| 固定資産圧縮損 30,000 | 機械装置 30,000 帳簿価額70,000に圧縮 |
📌
受贈益(収益)と圧縮損(費用)を両方計上して課税を将来に繰り延べる仕組み。以後の減価償却は圧縮後の¥70,000がベースになります。
火災が起きたら:未決算を経由する
帳簿価額¥60,000の建物(保険付保額¥100,000)が焼失した。保険金額が未確定。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 未決算 60,000 (火災未決算とも) | 建物 60,000 ※累計額は省略 |
後日、保険金¥70,000の支払いが決定したら…
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 未収入金 70,000 | 未決算 60,000 保険差益 10,000 |
💡 保険金が帳簿価額より少なければ火災損失(費用)。保険を掛けていない焼失は即・火災損失です。
4リース取引
リースは「借りる契約」ですが、実質的に分割払いで買ったのと同じものは資産として計上します。
| 種類 | 実態 | 処理 |
|---|---|---|
| ファイナンス・リース | 実質的に購入(中途解約不可・フルペイアウト) | リース資産/リース債務を計上し減価償却 |
| オペレーティング・リース | ただのレンタル | 支払時に支払リース料 |
ファイナンス・リースの2つの記帳法(リース料総額¥60,000・見積現金購入価額¥54,000・5年)
| 利子込み法 | 利子抜き法 | |
|---|---|---|
| 開始時 | リース資産 60,000/リース債務 60,000 | リース資産 54,000/リース債務 54,000 |
| 支払時(年12,000) | リース債務 12,000/現金 12,000 | リース債務 10,800/現金 12,000 支払利息 1,200 |
| 減価償却 | 60,000÷5年=12,000 | 54,000÷5年=10,800 |
📌
利子抜き法は利息分(6,000)をリース期間で均等に費用化(定額法)。減価償却は残存価額ゼロ・リース期間で行うのが基本です。
5無形固定資産と研究開発費
| 科目 | 内容 | 償却 |
|---|---|---|
| のれん | 合併などで払った「ブランド力」の対価(第6章) | 20年以内に定額法・直接法 |
| ソフトウェア | 自社利用目的のソフト購入・制作費 | 利用可能期間(通常5年)で定額法 |
| 特許権・商標権など | 法律上の権利 | 定額法・直接法 |
| 研究開発費 | 新製品・新技術の研究開発 | 資産にせず全額費用 |
💡 無形固定資産の償却は残存価額ゼロ・直接法(累計額を使わず帳簿価額を直接減らす)。「のれん償却」「ソフトウェア償却」という費用科目を使います。制作途中のソフトはソフトウェア仮勘定。
6理解度チェック
Q1. 定率法の減価償却費の計算式は?
Q2. 建物の価値を高める増築工事の支出は?
Q3. 除却した備品の処分価値は何勘定?
Q4. ファイナンス・リース(利子抜き法)でリース資産に計上する金額は?
Q5. 研究開発費の処理は?
7まとめ
4行でおさらい
① 減価償却は定額法+定率法(期首帳簿価額×率)+生産高比例法(使った分だけ)。
② 価値を高める支出は資産へ、元に戻す支出は修繕費。除却の処分価値は貯蔵品。圧縮記帳は受贈益と圧縮損をセット計上。
③ ファイナンス・リースはリース資産/リース債務を計上(利子込み法・利子抜き法)。オペレーティングは支払リース料。
④ のれんは20年以内・ソフトウェアは5年で償却(直接法)。研究開発費は全額費用。