第4章(商業簿記)

固定資産・リース・無形固定資産

減価償却の新しい方法と、借りて使う・形のない資産

1減価償却:3つの方法

3級では定額法だけでしたが、2級では定率法生産高比例法が加わります。

方法計算式イメージ
定額法(3級)(取得原価−残存価額)÷耐用年数毎年同額ずつ
定率法期首帳簿価額×償却率最初に多く、だんだん少なく
生産高比例法(取得原価−残存価額)×当期利用量/総利用可能量使った分だけ(車両など)

定率法の例:取得原価¥100,000・償却率20%

1年目100,000×20%
=20,000
2年目80,000×20%
=16,000
3年目64,000×20%
=12,800
📌
定率法は「残っている帳簿価額」に率を掛けるのがポイント。取得原価に掛けるミスが最頻出。期中取得なら月割りも忘れずに。

2買う・直す・捨てる

割賦購入:利息は資産に含めない

備品(現金購入価額¥100,000)を5回払い・総額¥105,000の分割で購入した。

借方貸方
備品 100,000
支払利息 5,000
(前払利息として繰延べる方法も)
未払金 105,000

改良と修繕:資本的支出 vs 収益的支出

内容処理
資本的支出価値を高める・寿命を延ばす(増築・改良)建物などの取得原価に加算
収益的支出元の状態に戻す(修理・メンテ)修繕費で費用処理

除却:使うのをやめて倉庫へ

取得原価¥100,000・減価償却累計額¥80,000の備品を除却。処分価値は¥5,000と見積もられた。

借方貸方
減価償却累計額 80,000
貯蔵品 5,000
固定資産除却損 15,000
備品 100,000
💡 建設仮勘定:建設中の建物への手付金は「建設仮勘定(資産)」にプールし、完成・引渡しで「建物」へ振り替えます。完成前なので減価償却しません。

3圧縮記帳と火災損失

圧縮記帳(直接減額方式):補助金でトクした分を帳消しに

国庫補助金¥30,000を受け取り、機械¥100,000を購入。圧縮記帳を行った。

借方貸方
当座預金 30,000国庫補助金受贈益 30,000
機械装置 100,000当座預金 100,000
固定資産圧縮損 30,000機械装置 30,000
帳簿価額70,000に圧縮
📌
受贈益(収益)と圧縮損(費用)を両方計上して課税を将来に繰り延べる仕組み。以後の減価償却は圧縮後の¥70,000がベースになります。

火災が起きたら:未決算を経由する

帳簿価額¥60,000の建物(保険付保額¥100,000)が焼失した。保険金額が未確定。

借方貸方
未決算 60,000
(火災未決算とも)
建物 60,000
※累計額は省略

後日、保険金¥70,000の支払いが決定したら…

借方貸方
未収入金 70,000未決算 60,000
保険差益 10,000
💡 保険金が帳簿価額より少なければ火災損失(費用)。保険を掛けていない焼失は即・火災損失です。

4リース取引

リースは「借りる契約」ですが、実質的に分割払いで買ったのと同じものは資産として計上します。

種類実態処理
ファイナンス・リース実質的に購入(中途解約不可・フルペイアウト)リース資産リース債務を計上し減価償却
オペレーティング・リースただのレンタル支払時に支払リース料

ファイナンス・リースの2つの記帳法(リース料総額¥60,000・見積現金購入価額¥54,000・5年)

利子込み法利子抜き法
開始時リース資産 60,000/リース債務 60,000リース資産 54,000/リース債務 54,000
支払時(年12,000)リース債務 12,000/現金 12,000リース債務 10,800/現金 12,000
支払利息 1,200
減価償却60,000÷5年=12,00054,000÷5年=10,800
📌
利子抜き法は利息分(6,000)をリース期間で均等に費用化(定額法)。減価償却は残存価額ゼロ・リース期間で行うのが基本です。

5無形固定資産と研究開発費

科目内容償却
のれん合併などで払った「ブランド力」の対価(第6章)20年以内に定額法・直接法
ソフトウェア自社利用目的のソフト購入・制作費利用可能期間(通常5年)で定額法
特許権・商標権など法律上の権利定額法・直接法
研究開発費新製品・新技術の研究開発資産にせず全額費用
💡 無形固定資産の償却は残存価額ゼロ・直接法(累計額を使わず帳簿価額を直接減らす)。「のれん償却」「ソフトウェア償却」という費用科目を使います。制作途中のソフトはソフトウェア仮勘定

6理解度チェック

Q1. 定率法の減価償却費の計算式は?
Q2. 建物の価値を高める増築工事の支出は?
Q3. 除却した備品の処分価値は何勘定?
Q4. ファイナンス・リース(利子抜き法)でリース資産に計上する金額は?
Q5. 研究開発費の処理は?

7まとめ

4行でおさらい

① 減価償却は定額法+定率法(期首帳簿価額×率)+生産高比例法(使った分だけ)。

② 価値を高める支出は資産へ、元に戻す支出は修繕費。除却の処分価値は貯蔵品。圧縮記帳は受贈益と圧縮損をセット計上。

③ ファイナンス・リースはリース資産/リース債務を計上(利子込み法・利子抜き法)。オペレーティングは支払リース料。

④ のれんは20年以内・ソフトウェアは5年で償却(直接法)。研究開発費は全額費用。