第3章(商業簿記)

有価証券

株式・債券は「持つ目的」で処理が変わる

1有価証券の4分類(これが全ての土台)

同じ株式・債券でも、何のために持つかで勘定科目と決算時の評価が変わります。まずこの表を頭に入れましょう。

保有目的勘定科目決算時の評価評価差額の行き先
売買でもうける売買目的有価証券時価有価証券評価損益(P/L)
満期まで持つ債券満期保有目的債券取得原価
(償却原価法)
有価証券利息(P/L)
支配・影響力のため子会社株式・関連会社株式取得原価のまま評価替えしない
上記以外(持ち合いなど)その他有価証券時価その他有価証券評価差額金(純資産)
📌
覚え方:売る気マンマン→時価でP/L直行満期まで待つ→ジワジワ原価に近づける支配目的→売る気なしだから原価のままその他→時価にするけど損益にはせず純資産へ

2購入と売却

購入:手数料は取得原価に含める

売買目的で株式100株を@¥500で購入し、手数料¥1,000とともに現金で支払った。

借方貸方
売買目的有価証券 51,000
50,000+1,000
現金 51,000

売却:複数回に分けて買ったら「平均原価」で

@¥500で100株、@¥520で100株購入済みの株式のうち、100株を@¥530で売却(代金は後日)。

1回目50,000
2回目52,000
÷
総株数200株
平均単価@510
借方貸方
未収入金 53,000売買目的有価証券 51,000
有価証券売却益 2,000

3決算時の評価替え

売買目的:時価に合わせて損益計上

帳簿価額¥51,000の売買目的有価証券の時価が¥53,000になった。

借方貸方
売買目的有価証券 2,000有価証券評価益 2,000

満期保有目的:償却原価法(定額法)

額面¥100,000の社債を¥97,000で購入(満期まで3年、差額は金利の調整)。決算で1年分を加算。

額面と取得価額の差3,000
÷
満期までの年数3年
毎年の加算額1,000
借方貸方
満期保有目的債券 1,000有価証券利息 1,000

その他有価証券:時価にするが、損益にしない(全部純資産直入法)

取得原価¥80,000のその他有価証券の時価が¥85,000になった。

借方貸方
その他有価証券 5,000その他有価証券評価差額金 5,000
💡 その他有価証券の評価差額は翌期首に逆仕訳で振り戻し(洗替法)ます。また税効果会計の対象になります(第5章)。

4端数利息(債券を利払日の途中で売買したら)

債券の利息は利払日に「その時の持ち主」が全額受け取ります。だから途中で買った人は、前の利払日の翌日から売買日までの利息を売り主に払って清算します。

例:額面¥100,000・年利率7.3%の社債を売買。前回利払日の翌日から売買日まで100日。

額面100,000
×
年利率7.3%
×
経過日数100/365
端数利息2,000
借方(買った側)貸方
売買目的有価証券 98,000
有価証券利息 2,000
あとで戻ってくる分
現金 100,000
📌
端数利息は日割り計算(利息の月割りと区別!)。買い主は「立て替えた利息」を有価証券利息の借方に記入し、次の利払日に満額受け取って相殺します。

5理解度チェック

Q1. 決算時に評価替えを「しない」有価証券は?
Q2. その他有価証券の評価差額はどこへ?
Q3. 償却原価法で帳簿価額に加算した金額の相手科目は?
Q4. 端数利息の計算方法は?

6まとめ

4行でおさらい

① 有価証券は保有目的で4分類。売買目的→時価(P/L)、満期保有→償却原価法、子会社・関連会社→原価、その他→時価(純資産直入)。

② 購入手数料は取得原価に含める。売却原価は平均単価で計算。

③ 償却原価法は額面との差額を満期まで毎期均等に加算し、相手科目は有価証券利息。

④ 端数利息は「額面×年利率×経過日数/365」の日割り計算。