第2章(商業簿記)

債権債務と外貨建取引

債権を売る・海外と取引する——お金の動きが広がる

1電子記録債権の譲渡

3級で学んだ電子記録債権は、他人に譲渡(売却)できます。額面より安く売れば差額は損失です。

電子記録債権¥10,000を¥9,700で銀行に譲渡し、当座預金に入金

借方貸方
当座預金 9,700
電子記録債権売却損 300
電子記録債権 10,000
💡 売掛金そのものを譲渡した場合の差額は債権売却損。「期日前に現金化する手数料」のイメージです。
📌
固定資産の売買を手形で行ったときは営業外受取手形・営業外支払手形。「商品売買(営業)以外の手形」という意味で、未収入金・未払金の手形版です。

2外貨建取引の基本:3つの場面でレートが変わる

海外との取引はドルなどの外貨で行われますが、帳簿には円に換算して記入します。ポイントは「いつのレートで換算するか」。

🛒
① 取引発生時
その日のレート(HR)で換算して記帳
📆
② 決算時
外貨建ての債権債務を決算日レート(CR)に換算替え
💴
③ 決済時
決済日のレートで決済。差額は為替差損益

例:100ドルの商品を掛けで輸出(1ドル=¥140)

借方貸方
売掛金 14,000売上 14,000

決算日:レートが1ドル=¥145になった(売掛金100ドル)

借方貸方
売掛金 500
14,000→14,500に増額
為替差損益 500

決済日:1ドル=¥143で100ドルが当座預金に入金

借方貸方
当座預金 14,300
為替差損益 200
売掛金 14,500
📌
為替差損益は1つの勘定で貸方なら差益(収益)・借方なら差損(費用)。P/Lでは純額で「為替差益」または「為替差損」と表示します。

3換算替えするもの・しないもの

項目決算時の換算替え理由
外国通貨・外貨預金する(CR)将来お金で決済される
「貨幣項目」だから
売掛金・買掛金・貸付金・借入金する(CR)
前払金・前受金しない(HRのまま)お金でなく商品・サービスで決済されるから
💡 前払金・前受金は換算替えしない——ここが2級の最頻出ひっかけ。「すでに支払い(受け取り)が終わっていて、もう為替の影響を受けない」と考えると納得できます。
💡 為替予約(振当処理):将来の決済レートをあらかじめ契約で固定する方法。予約レートで換算し、以後は換算替え不要になります。

4理解度チェック

Q1. 電子記録債権を額面より安く譲渡したときの差額は?
Q2. 決算時に換算替え「しない」のはどれ?
Q3. 外貨建売掛金の決算時換算で生じた差額は何勘定?
Q4. 備品を約束手形で購入したときの貸方科目は?

5まとめ

4行でおさらい

① 債権は譲渡できる。額面との差額は電子記録債権売却損・債権売却損。

② 固定資産の手形売買は営業外受取手形・営業外支払手形。

③ 外貨建取引は取引時レートで記帳→決算時に貨幣項目だけCRで換算替え→差額は為替差損益。

④ 前払金・前受金は換算替えしない(お金で決済されないから)。