第1章(商業簿記)

商品売買と銀行勘定調整表

まずは3級との違いを知り、2級の世界に入る

12級は3級とどう違う?

3級2級
主人公小さな株式会社本格的な株式会社(支店・子会社あり)
科目商業簿記のみ商業簿記+工業簿記の2本立て
商業簿記基本の仕訳と決算有価証券・リース・税効果・連結など発展論点
工業簿記なし製造業の原価計算(まったく新しい分野)
📌
仕訳のルール(左右・5要素・ホームポジション)は3級と完全に同じ。増えるのは「登場する取引の種類」だけです。怖がらなくてOK。

2売上原価対立法(商品売買の新しい記帳法)

3級では「三分法」(仕入・売上・繰越商品)を学びました。2級では売上原価対立法が加わります。

商品¥3,000を仕入れ、¥5,000で販売した(いずれも掛け)。

三分法(3級)売上原価対立法(2級)
仕入時仕入 3,000/買掛金 3,000商品 3,000/買掛金 3,000
販売時売掛金 5,000/売上 5,000売掛金 5,000/売上 5,000
売上原価 3,000/商品 3,000
決算時売上原価の算定仕訳が必要決算整理が不要(売上原価が常に最新)
💡 売上原価対立法は「売るたびに、売上(収益)と売上原価(費用)をセットで計上する」方法。商品勘定の残高=今ある在庫、売上原価勘定の残高=今期の原価、が常にわかります。

3割戻し(リベート)

たくさん買ってくれた取引先に代金の一部を返す「割戻し」。仕入側と売上側で処理が異なります。

仕入割戻を受けた:買掛金¥10,000のうち¥500の割戻し

借方貸方
買掛金 500仕入 500
仕入を取り消す(減らす)

売上割戻を行う見込み:売上¥10,000のうち¥500を返金予定

借方貸方
売掛金 10,000売上 9,500
返金負債 500
📌
収益認識基準により、売上側は返金する見込み分を最初から売上に計上しないで「返金負債(負債)」とします。詳しくは第7章の収益認識で。

4銀行勘定調整表(第2問・第3問の頻出)

会社の帳簿の「当座預金残高」と、銀行の「残高証明書」の金額は、タイミングのズレでよく食い違います。その原因を整理する表が銀行勘定調整表です。

ズレの原因は6パターン。「修正仕訳が必要か」で分ける

原因どんなズレ?修正仕訳
時間外預入閉店後に預けた→銀行は翌日入金扱い不要
(銀行側を調整)
未取立小切手銀行に取立を依頼したがまだ
未取付小切手渡した小切手を相手がまだ銀行に持ち込んでいない
連絡未達入金・引落の連絡が会社に届いていない必要
(会社側を修正)
誤記入会社が金額を書き間違えた
未渡小切手小切手を作ったのに相手に渡していない
📌
覚え方:銀行側の事情(時間外・未取立・未取付)は待てば解消→仕訳不要会社の帳簿が間違っている(未達・誤記入・未渡)→修正仕訳が必要

未渡小切手の修正仕訳:買掛金支払用の小切手¥2,000が金庫に残っていた

借方貸方
当座預金 2,000
減らしたつもりを戻す
買掛金 2,000
まだ払っていない
💡 未渡小切手の貸方は、買掛金の支払い用なら「買掛金」、広告費など費用の支払い用なら「未払金」。仕訳済みの費用は取り消さず未払金にするのがポイントです。

5理解度チェック

Q1. 売上原価対立法で商品を販売したとき、売上の計上とセットで行う仕訳は?
Q2. 銀行勘定調整表で「修正仕訳が必要」なのはどれ?
Q3. 買掛金支払いのために作成した小切手が未渡しだった。修正仕訳の貸方は?
Q4. 売上割戻が見込まれる分は、販売時に何勘定で処理する?

6まとめ

4行でおさらい

① 2級=商業簿記の発展+工業簿記。仕訳のルール自体は3級と同じ。

② 売上原価対立法は販売のたびに「売上原価/商品」をセット計上。決算整理不要。

③ 売上割戻の見込み分は売上にせず「返金負債」。

④ 銀行勘定調整表:銀行側の事情は仕訳不要、会社の帳簿ミス(未達・誤記入・未渡)は修正仕訳。