1総合原価計算とは:個別との違い
| 個別原価計算(第10章) | 総合原価計算 | |
|---|---|---|
| 生産形態 | 注文ごと(オーダーメイド) | 同じ製品を大量生産 |
| 集計単位 | 製造指図書ごと | 月単位でまとめて→1個あたりに割る |
| 原価の分け方 | 直接費/間接費 | 直接材料費/加工費の2つだけ |
📌
総合原価計算では原価を「直接材料費」と「加工費(それ以外全部)」の2つに分けます。理由は次の「完成品換算量」の考え方が違うから。
2完成品換算量:作りかけは「何個分」?
月末に作りかけ(仕掛品)が残っていたら、完成品と同じ1個とは数えられません。進捗度を掛けて「完成品なら何個分か」に換算します。
| 投入タイミング | 月末仕掛品100個(進捗度50%)の換算量 | |
|---|---|---|
| 直接材料費 | 工程の始点で全部投入 | 100個(最初から全部入っている) |
| 加工費 | 進捗に応じて徐々に発生 | 100個×50%=50個分 |
💡 カレー工場のイメージ:具材(材料)は最初に全部鍋に入れるが、煮込み(加工)は半分しか終わっていない——だから材料は100%、加工は50%。
3月末仕掛品の評価:平均法と先入先出法
月初仕掛品がある場合、「月末に残っているのは古い分?新しい分?」の仮定で2つの方法があります。
| 方法 | 考え方 | 月末仕掛品の単価 |
|---|---|---|
| 平均法 | 月初と当月投入を混ぜて平均 | (月初原価+当月原価)÷(完成品量+月末換算量) |
| 先入先出法 | 古い月初分から先に完成させた | 当月投入分の単価だけで計算 |
例(加工費・平均法):月初¥2,000+当月¥10,000、完成100個・月末換算量20個分
原価合計12,000
÷
完成100+月末20120個分
=
単価@100
→
月末仕掛品@100×20=2,000
完成品原価=12,000−2,000=¥10,000。「ボックス図」(左に月初・当月投入、右に完成・月末を書くT字の図)を描いて整理するのが定石です。
4仕損・減耗:失敗作の原価は誰が負担?
製造中の失敗品(仕損)や蒸発などの目減り(減損)が正常な範囲なら、その原価は良品に負担させます(度外視法)。
| 仕損の発生点 | 負担者 | 計算のコツ |
|---|---|---|
| 工程の終点(または月末仕掛品の進捗より後) | 完成品のみ負担 | 仕損品を完成品にくっつけて計算 |
| 月末仕掛品の進捗より前(または始点) | 完成品と月末仕掛品の両者負担 | 仕損品をいなかったことにして計算 |
📌
判断基準はただひとつ:「月末仕掛品は、仕損の発生点を通過したか?」 通過した(発生点≦月末の進捗度)なら月末仕掛品も仕損を出した責任あり→両者負担。まだ通過していない(発生点>月末の進捗度)なら→完成品のみ負担。
5いろいろな総合原価計算
| 種類 | 使う場面 | 計算のポイント |
|---|---|---|
| 工程別 | 2つ以上の工程を通る | 第1工程の完成品原価を前工程費として第2工程へ(材料と同じ扱い・始点投入) |
| 組別 | 違う種類の製品(A組・B組) | 直接費は組ごと、共通の加工費は組間接費として配賦 |
| 等級別 | 同種でサイズ違い(S・M・L) | 完成品原価を等価係数×数量(積数)の比で各等級に按分 |
💡 どれも土台は単純総合原価計算(ボックス図)。「前工程費は始点投入の材料と同じ」「等級別は積数で割るだけ」と整理すれば怖くありません。
6理解度チェック
Q1. 月末仕掛品100個(進捗度40%)の加工費の完成品換算量は?
Q2. 始点投入の直接材料費について、月末仕掛品100個(進捗度40%)の換算量は?
Q3. 月末仕掛品を「当月投入分の単価」だけで計算する方法は?
Q4. 工程の終点で発生した正常仕損の原価は誰が負担?
Q5. 第1工程完成品の原価は、第2工程では何と呼ばれる?
7まとめ
4行でおさらい
① 総合原価計算は大量生産用。原価は直接材料費(始点投入→数量100%)と加工費(×進捗度)に分ける。
② 月末仕掛品の評価は平均法(混ぜて平均)と先入先出法(当月単価のみ)。ボックス図で整理。
③ 正常仕損は良品が負担:月末仕掛品が発生点を通過していれば両者負担、未通過なら完成品のみ負担。
④ 工程別は前工程費=始点投入材料、組別は組間接費を配賦、等級別は積数で按分。